今回は「USミリタリー生活の知恵」というわけではないので、何の役にも立たないし、需要のない記事かもしれません。しかし、米軍人と結婚していて、更に日本に住んでいる人には知っていて欲しい事なので記事にしました。
あなたは「思いやり予算」という言葉を聞いたことがありますか?
米軍人と結婚し、軍と関わるようになれば、一度はこの言葉を耳にすることがあるかもしれません。(日本のニュースでも時々取り上げられる題在なので、知っている人も多いかもしれないですね。)
日本にある米軍施設を利用していれば、わたし達はこの恩恵を受けていることになります。
思いやり予算ってなに?
「思いやり予算」とは日本にあるアメリカ軍の施設を造る費用や施設を維持する費用(電気・水道代なども含む)・基地内で働く日本人従業員の給料を日本の税金でアメリカに代わり日本が負担している予算のことです。これは日本が払うと決まった法律があるわけではありません。
政府が文字通り「思いやり」でアメリカのために日本国民の税金から支払っているのです。
日本とアメリカの間では地位協定というものがあり、日本はアメリカ軍に対して施設の提供をすることになっています。当初は、アメリカ軍の施設を維持するための費用はアメリカが負担することになっていて、その中には軍人の給料・訓練費用・基地内従業員(日本人)の給料が含まれていました。
日米地位協定とは
ここで、少し日米地位協定について説明しますね。
【日米地位協定とは】
日米地位協定(U.S.-Japan Status of Forces Agreement、SOFA)は、アメリカ合衆国と日本の間で締結された協定で、日米安全保障条約の一部を構成しています。つまり、両国が安全を守るために協力する取り決めの一つです。
この協定には、アメリカ軍が日本に駐留し、日本内で活動する際の法的な地位と権限に関する規定が含まれています。
以下に要点をまとめてみました。(興味の無い方は、下記はスッ飛ばして読んで下さい。)
1.施設・区域の使用
施設・区域の使用:日米地位協定は、アメリカ軍が日本にある特定の施設やエリアを使用できる権限を定めています。これらの施設は軍事基地や訓練場などで、アメリカ軍の活動をサポートするために提供されています。
2.米軍の地位
米軍の地位:日米地位協定は、米軍人が日本で問題を起こした場合の法律の取り決めも定めています。一般的に、米軍の兵士・軍属は、一定の条件下で日本の司法管轄権から免除され、アメリカの軍事法廷で審理されることがあります。しかし、重大な犯罪などの事件については、日本の司法当局が対応することもあります。
3.安全保障協力
安全保障協力:日米地位協定は、日本とアメリカの安全保障協力を強化し、両国の安全保障体制を強固にする役割も果たしています。アメリカ軍の駐留により、日本は外部からの脅威に対してより強力な防衛体制を維持できるとされています。
話しを「思いやり予算」に戻しますね。実際に1977年まではアメリカ軍施設の建築費・維持費・基地内従業員の給料は全額アメリカ政府が自分でまかなっていたそうです。
ところが1978年からこれらの費用を一部、日本が負担するようになりました。
当時(1978年)の防衛庁長官・金丸信さんが、在日米軍基地で働く日本人従業員の給与の一部(62億円)を日本側が負担すると決めた事から始まりました。
当時、日本が急激に経済成長を遂げている中、日本が軍事面への経済負担をしないことに不満を持った、財政難にあったアメリカから特別措置を要求された日本が「思いやりの立場で対応すべき」と導入した事から【思いやり予算】という呼び方になったそうです。
1970年代からアメリカはベトナム戦争のあおりを受けて、アメリカ経済がドル安・円高により行き詰っていたため、日本にあるアメリカ軍にかかる費用を日本に負担させるようになったのです。
最初の思いやり予算はアメリカ軍で働く日本人たちの給料だけを対象としていました。
ところが、アメリカ側の要求により、これが建築費・維持費などにも適用されるようになり、金額は次第に増加していくことになります。
他国もそれぞれ、思いやり予算に似た経済負担をしていますが、下記⇩の図を見ても分かるように、日本の負担率はかなりのものです。
思いやり予算
2022年度から5年間の在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)に関する新たな特別協定が可決・承認されたそうです。(年平均で2110億円に増額・5年間の総額は1兆円を超える。)
予算は年々膨れています。
ミリタリー配偶者が受けている恩恵
わたしが日本の基地内に住んでいた頃は、家賃・光熱費はありませんでした。(電話代やインターネット代など、一部は自己負担です)すごく恵まれた生活をしていたと思います。現在も日本の基地内に住んでいれば、家賃・光熱費を支払う必要はありません。
そして、米軍人の家族であれば、基地内のレクレーション施設も無料で自由に使う事ができます。
これも全部、日本国民の税金(思いやり予算)を使用し、施設を維持できているおかげです。
わたしも働いていましたし、日本に税金も納めていましたが、この「思いやり予算」を知った時は、とても心苦しかったです。そして、少しでも節約を心がけるようになりました。
当時の私は、この予算の事を一人でも多くのミリ妻さん達に知って欲しいと思って、人種を問わず説明していました。(アメリカ人の方は、アメリカが負担していると思っていた人が多く、かなり驚かれます。)
結構、この予算のことを知らない人も多く「教えてくれてありがとう。」と言う人もいれば、「無料で使えるって、わたし達ってラッキーだね!」と何も心に響かない人もいらっしゃいました。(特に日本人からこの反応が返ってくると悲しい (´;ω;`)ウッ…
無料だからといって、クーラーを一日中ガンガンにかけたり、水を流しっぱなしで使っていたりを当たり前のようにやってはいけないと思って欲しいです。もし、これが自分で光熱費など払わないといけないとなると、節約しますよね。それと同じで、ちょっとでも節約を心がけたいところです。
「おもいやり予算」が少しでも広まって欲しい
米軍のための情報誌「Stars and Stripes」のサイトや「Military.com」のサイトでも取り上げられるようになったので、知られるようになってきてると思いますが、あなたのパートナーにもぜひ伝えて欲しいと思います。
僕も、ミリ美から教えられるまでは、知らなかったよ。
人それぞれ、捉え方や考え方が違うのは承知なので、無理強いはしませんが、この予算について頭の片隅にでも気にかけておいて下さい。
まとめ
「チリも積もれば山となる」です。一人の力は微力かもしれませんが、みんなで心がければ年間少しの額でも節約は出来るかも!しれません。日本国民が汗水流して働いて納めた税金が使用されている事を知っていて欲しいなと思います。。
わたし達、USミリタリー配偶者が、日本でこうやって快適な生活ができるのも、おもいやり予算の存在が大きいのです。忘れないで、感謝の心とおもいやり予算。
ではでは、本日も素敵なミリ生活をお過ごしください。Funday-Miliday!!