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ミリ美
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米軍人のメディカル・リタイアメント の仕組みについて解説します

米軍人のメディカルリタイアメント

USミリタリーの配偶者生活が長くなってくると、メディカル・リタイアメントをした人たちの話を聞くことがあると思います。

普通の退役(リタイア)とは何が違うの?と思ったことはありませんか?
わたしも、何度か名称を耳にしたことがありましたが、実際に親族にメディカル・リタイアメントした人がでるまでは、殆ど内容を知りませんでした。

ミリ美

身内が軍人家系だと色んな情報が入ってくるのでありがたい。

今回は、障害判定され、医療的に軍を離れる事について分かった事を解説していきます。

※当ブログでは、USミリタリーの英語名称と略称がたくさん出てきます。あなたが何か調べたいと思った時に、英語での名称を知っていれば簡単に調べることができます。少し読みにくいかもしれませんが、ご了承ください m(UU)m

このページの英語名称の隣にある日本語の名称は、分かりやすく説明するために私が訳したものです。できれば、英語名称の方を使用するようにして下さい。(うまく訳せてなかったらごめんなさい。)

目次

医療離脱と医療退職

まず初めに、障害が原因で医療的に軍から離れるのには下記の2つのパターンがあります。

Medical separation(メディカル・セパレーション / 医療離脱 / 除隊)
Medical retirement(メディカル・リタイアメント / 医療退職)

軍人が負傷した場合、1年以内に通常の任務に復帰できるほど症状が改善しない と軍医、軍司令官が判断した場合は Integrated Disability Evaluation System(略称:IDES)の最初のステップが開始されます。

国防総省 / Department of Defense (略称:DOD) と 退役軍人省 / Department of Veterans Affairs (略称:VA) の間のこの共同評価プロセス IDES は該当する軍人が Medical Examination Board (略称:MEB)または Physical Examination Board (略称:PEB) に審査されることから始まります。

MEBPEB は同じものですが、所属しているブランチによって名前の名称が違うだけです。

医療離脱と医療退職の流れ

STEP
報告

まず、医師が該当する軍人を診察して、障害がある(または、障害の可能性がある)と判断した場合に、医師が MEB または PEB に報告します。

STEP
情報の共有

MEB または PEB VA と 情報を共有します。

STEP
障害等級パーセンテージの格付け

VA は、MEB または PEB が最終決定をする前に、障害等級パーセンテージの格付けを割り当てます。

STEP
最終決定

MEB または PEB は、VA が割り当てた 該当する軍人の障害等級パーセンテージ、健康診断結果や勤務年数などを元に最終決定を下します。

最終決定は、以下の3つの処分に振り分けられます。

Fit for Duty / 任務に復帰
Medical Separation / 医療離脱
Medical Retirement / 医療退職

Fit for Duty / 任務に復帰

Fit for Duty の処分が決定された軍人は、リハビリや理学療法、その他の治療によって職務に復帰しても大丈夫、または身体的に職務を遂行する能力があると判断された場合に、現役に戻ることができます。

Medical Separation / 障害・医療離脱

職務に適さないと判断され、

勤続年数が 20 年未満である
障害等級が 30% 未満である

上記の場合には、 Medical Separation / 医療離脱 の処分が下されます。
Medical Separation には、給付金・給与・退職金のいずれかがある場合と、給付金・給与・退職金がない場合の2つの形式があります。

退職金または給付金を伴うMedical Separation

入隊後に職務により障害が発生したと判断された場合には、
障害による退職金(障害手当金) / Disability Severance Pay (略称:DSP) が支払われます。この退職金は1回限りの一時金で、「 2ヶ月分の基本給 X 勤続年数(最長19年) 」で計算されます。

DFASのWebページによると、退職金を受け取って離脱した場合は、現役に戻ることも、後で退職を申請する事もできません。とあります。
参照元:Disability Severance Pay

退職金や給付金のない Medical Separation

入隊前の障害が原因、障害や傷害が職務とは無関係、 または職務によって悪化していないと判断された場合は、通常退職金は受け取れません。

Medical Retirement / 医療退職

わたし達が耳にするメディカル・リタイアメントとは、通常 Disability Retirement と呼ばれているもので、軍が障害により仕事ができないと判断したことを意味します。

メディカル・リタイアメントは自分から申請退職する事はできません。
Disability Retirement には下記の2つがあります。

Temporary Disability Retired List
(略称:TDRL / 一時障害退職者リスト)

Permanent Disability Retired List
(略称:PDRL / 永久障害退職者リスト)

TDRL または PDRL のどのリストに載っても、退役軍人とみなされます。

TDRL または PDRL のいずれかに登録されると、Regular Retirement(定期退職)した軍人が、毎月退職金を受け取っているように、毎月Disability Retired Pay(障害退職金)を受け取ることが出来ます。

この毎月の補償で受け取る金額は、扶養している子供、扶養している親、または婚姻状況などの他の要因によって異なってきます。

この Disability Retired Pay の割合は下記 A または B の方法のどちらかで計算されます。
(※DFAS のWebページによると、該当軍人にとって有利な方法に基づいて計算されるそうです。)

Method A:
( Disability % )X( Retired base pay) = Disability Retired Pay(障害退職金)

Method B:
(勤続年数)X(2.5%)X( Retired Base Pay ) = Disability Retired Pay(障害退職金)

参照元:
Qualifying a Disability Retirement (⇦スマホで開いたら下にスクロールすると詳細が出てきます)
Disability Retirement

Temporary Disability Retired List (略称:TDRL / 一時障害退職者リスト)

MEB(メディカルボード)または PEB (フィジカルボード)が、該当する軍人の状態が、悪化する可能性(永続的ではなく一時的なもの)がある障害のために、職務を遂行するのに適さないと判断した場合は、この軍人をTemporary Disability Retired List に登録し、退職する事になります。

酷い片頭痛や喘息、神経損傷、精神障害などの症状がある場合は、TDRLの対象となります。

TDRLに登録されている間は、障害の症状が安定するか快復するまで、月々のDisability Retired Pay(障害退職金)を受け取ることができます。また、検査のための医療機関への交通費も申請する事により支払われます。(※TDRLに登録されたら、支払い目的で最低でも50%の障害等級パーセンテージを使用します。)

TDRL リストに登録されている間は、少なくとも18ヶ月ごとに、身体検査・健康診断が必要です。PTSD で TDRL に登録されている場合は、6ヶ月ごとに検査が必要だそうです。

18ヶ月に1回の健康診断の報告を怠った場合は、所属ブランチの指示で その軍人をTDRLリストから削除し、健康診断が完了するまで月々の退職金の支給を停止するそうなので、注意が必要です。

2017年1月1日より前に TDRL に登録されていた場合は、障害の状態が変化しない限り、最長で5年間 TDRLに留まることが出来ます。

2017年1月1日以降にTDRLに登録された場合は、その間に状態が変化しない限り、最長で3年間留まることが出来ます。

リストに登録されている間に、任務遂行に適していると判断された場合は、いつでもTDRLから外され、現役に戻ることが出来ます。

3年または5年の期限が切れても TDRL リストから削除されなかった場合は、下記の2つのうちのいずれかが起こります。

障害が安定し、30パーセント以上の障害等級と評価された場合は、Permanent Disability Retired List (略称:PDRL / 永久障害退職者リスト)に移されます。

障害が安定し、30パーセント未満の障害等級で勤続20年に満たない場合は、退職金が支払われ、TDRLから除隊されます。

参照元:Temporary Disability Retired List

Permanent Disability Retired List (略称:PDRL / 永久障害退職者リスト)

障害が安定し、30%パーセント以上の障害等級と評価された場合は、Permanent Disability Retired List (略称:PDRL / 永久障害退職者リスト) に登録され、医学的に永久に退職することができます。

勤務に関連した怪我により永久に退職した場合は、生涯無料の退役軍人医療を受ける資格があります。 さらに、後遺障害の等級に応じて、毎月の補償Disability Retired Pay(障害退職金)を受け取る事ができます。

参照元:Permanent Disability Retired List

軍人退職金と障害補償金の相殺

通常のリタイアであれば、DFAS(Defense Finance And Accounting Service)から支払われる Military Retirement Pay(軍人退職金 ※課税対象)VA から支払われる Disability Compensation(障害補償金 ※非課税)の2つを毎月受け取る事ができます。

しかし、メディカル・リタイアメントの場合は、2つ同時にはうけとれません。VA からの障害補償金を受け取った場合、DFAS からの軍人退職金は、VA 障害補償金の額だけ減額される場合があります。この削減はOffset(オフセット )と呼ばれています。

例)
同じE7でメディカル・リタイアメントした A と B の2人の軍人が居たとします。
どちらも退職金(DFAS)$1,200ドル・50%の障害補償金(VA)$1,000ドルを、ともに同じ額が支払われることになりました。【※金額は架空のものです。】

しかし、軍人Aは退職金(DFAS)をメイン受け取りに選び、軍人Bは障害補償金(VA)をメイン受け取りに選びました。

分かりやすいように図にしてみました。下の図を見てみましょう。
軍人Aには、生涯、退職金の$1,200ドルのみが月々支払われます。(※物価の上昇などで、COLAが変動した場合は、多少の変動があります。)

一方で軍人Bは、最初は 障害補償金 プラス 相殺額の$1,200ドルと合計金額は、Aと同じですが、将来、障害のパーセンテージが上がれば、その分だけ月々の支払われる額が高くなります。VA 給付金(障害補償金)と DFAS退職金は互いに相殺されます

【※金額は架空のものです。】

リタイア時に提示されたディサビリティのパーセンテージが低ければ、課税があっても「退職金」の方を選んだ方がいいですし、パーセンテージが高ければ「VAからの障害補償金」を選択した方がいいのではと思います。この辺は、軍人のパートナーがどちらがベストかを選ぶと思います。

参照元:(⇩スマホで開いた場合は下にスクロールすると詳細が表示されます)
Concurrent Military Retired Pay and VA Disability Compensation
Understanding the VA Waiver and Retired Pay/CRDP/CRSC Adjustments
Type of Retirement

障害等級パーセンテージ / Disability ratings

傷害等級パーセンテージの割り当て方は、
別記事「USミリタリーのリタイアのページの中の「VA disability Compensation」」の項目で説明したように、VA(U.S.Department of Veterans Affairs / 退役軍人省)によって割り当てられます。

「片頭痛」を例にとって説明します。

ある軍人は、軍隊に入る前から片頭痛を抱えていましたが、勤務中に偏頭痛が悪化したとします。兵役中に怪我や病気をした場合、偏頭痛がその怪我や病気に関係している可能性がるかもしれません。

片頭痛といっても様々で、障害等級パーセンテージの評価は、片頭痛の頻度、衰弱の度合い、片頭痛がどれくらい続くかによって決まります。

片頭痛に対する最高の VA 評価は 50 パーセントです。 ただし、別の障害に伴って片頭痛があり、合計の評価が 70% を超えている場合は、追加の給付を受ける資格がある可能性があります。

片頭痛にふさわしい障害等級を取得するには、頭痛の程度、日常生活や労働能力への影響、兵役との関連を証明する証拠を含める必要がるそうです。

片頭痛のパーセンテージ

片頭痛のパーセンテージの説明図

VA Disability Rating for Migraines
0 %頭痛の頻度が減少
10 %過去数か月間、平均 2 か月に 1 回、ひれ伏すほどの頭痛
30 %過去数か月間、平均して月に 1 回、土下座するほどの頭痛
50 %長期的に頻繁な頭痛により完全に衰弱し、経済的に非常に深刻な状態
片頭痛に対するVA障害等級

同じ、片頭痛でもパーセンテージが違ってくるとはビックリです。そして、この障害者等級パーセンテージを上げるのは可能ですが、時間がかかり簡単ではないそうです。

旦那ミリオのお兄さんは、現役Armyから怪我で、Armyナショナルガードに移ってリタイア資格まで達しました。

ミリ美

ヘリからのパラシュート降下訓練で着地に失敗。足腰を骨折したそうです。。。

骨折が治った後は、痛みがあっても病院に行かずに、市販薬の痛み止めで持ちこたえて生活していたそうです。

そして、リタイア資格時に出された障害等級パーセンテージには、その怪我が含まれていなかった為、問い合わせると、「怪我後に治療を継続して受けている記録がなく、兵役によって怪我が悪化、または後遺症が残ったという証明はない。」との事で却下されていたそうです。

わたし達の周りの、高い障害等級パーセンテージを得ているリタイア軍人達からのアドバイスは、現役時代から小さな怪我や体の異変でも必ず記録を残しておくこと!だそうです。

参照元:Military Disability Retirement

まとめ

いかかがでしたか?少しでもメディカル・リタイアメントについて理解するお手伝いができたなら嬉しいです。

出来るだけ、分かりやすく書いたつもりですが、ミリタリーは略称を多く使うので、最初は理解に苦しみますよね。旦那ミリオの親族もミリタリーが多く、皆、軍関係の話をするときは略語を使って話すので、私もついていくのに必死です。

メディカル・リタイアメントは決定されてから退職までの期間が短く、通常のリタイアであれば、1年程かけて準備する手続きや、クラスへの参加を短期間に行わなければいけないため、軍人本人も家族もかなりのストレスになると聞きました。

リタイア後は、少しでもストレスフリーでゆっくり過ごせますように。
ではでは、Funday Miliday!

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